9.
「おやおや、そんなに驚くことはないでしょう。先ほど言いましたよね。君が『本物の』バーニング・バスターを持っていると。
このカードは世界に2枚しかない本物ではないです。ですが、効果やステータスはもちろん本物と変わりません。
それとも、『バーニング・バスター』を使えるのは自分だけだとでも思ってたんですか?」
栄一はGの言葉を否定できなかった。『バスター』は実際に世界に2枚しかないカードであるし、
栄一は智以外の人間に『バスター』を使われたことはなかった。他人が『バスター』を使うということは、栄一の頭から抜け落ちていたのである。
「もちろん召喚しただけでは終わりませんよ。私の方が『バスター』をうまく使いこなせるということを証明してあげますよ。
『異次元からの埋葬』を発動。除外された『リリカル・セイジ』3枚を墓地に戻します。戻した『リリカル・セイジ』を全て除外して3枚ドローします」
G:手札5枚→7枚
「『異次元からの埋葬』が3枚ドローになったのか…」
栄一は、『リリカル・セイジ』のドロー効果の強力さを実感した…。
「手札の『ジャンク・コレクター』を墓地に送り、『ワン・フォー・ワン』を発動。
デッキから『モンスター・アイ』を特殊召喚します」
ワン・フォー・ワン 通常魔法
手札からモンスター1体を墓地へ送って発動する。
手札またはデッキからレベル1モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。
G:手札7枚→5枚
1ターン目の大量融合に貢献した不気味なモンスターが、再び現れた。
「では、そろそろいきます。『ミラクル・フュージョン』を発動。フィールドの『バスター』、墓地の『エアーマン』、『ミラクル・ヒーロー』を除外して、
『E・HERO ウルティメイト・バーニング・バスター』を特殊召喚します」
逞しい両足、太くしなやかな両腕、そして熱気あふれる巨体。
前のターンに出てきた『インフィニティ・ナイト』や『パワード・バーニング・バスター』をも遥かに凌駕する威圧感。
フィールドを畏怖で包み込む灼熱の巨人、『ウルティメイト・バーニング・バスター』が栄一の前に現れた。
E・HERO ウルティメイト・バーニング・バスター ☆10(NEXUSオリジナル)
炎 戦士族 融合・効果 ATK4000 DEF3200
「E・HERO バーニング・バスター」+戦士族のモンスター×2
このモンスターの融合召喚は、上記のカードでしか行えず、融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの攻撃力か守備力の高い方の数値分のダメージを相手ライフに与える。
しかし、Gはまだ手を止めることはなかった。
「『ウルティメイト』を融合したので、『エレメンタル・ターボ』の発動条件を満たしました。発動して2枚ドローします。
そして、2枚目の『ミラクル・フュージョン』を発動します」
G:手札4枚→5枚→4枚
Gはフィールドの『ノヴァマスター』を除外し、墓地から融合素材となる2枚のモンスターカードを取り出した。
その内容に栄一は驚愕した。
「バスターが、さらに2枚…」
除外したカード:『バーニング・バスター』×2、『ノヴァマスター』
「1ターン目に『未来融合』で『リリカル・セイジ』を墓地に送った時に一緒に送っておいたんですよ。
では、2体目の『ウルティメイト』を特殊召喚します」
「『ウルティメイト』が2体…。しかも『バスター』はデッキに3枚入ってるのかよ…」
栄一が、普通ならあり得ないGのデッキ構成に驚いていると、
「『バスター』は強力な効果を持ち、融合素材としても優秀なのですから当然です。ちなみに『ウルティメイト』も3枚入ってます」
Gは事も無げにそう言った。
「何度も言いますが、この程度で驚かれては困りますよ。さらに、墓地の『アナザー・ネオス』と『ジャンク・コレクター』を除外して、『フェニックスブレード』を手札に加えます」
「…!?『フェニックスブレード』は除外したはずだろ!?」
「君の『ネクロシャドーマン』の効果で2枚目が墓地に送られただけですよ。まあ、今回はループにはしませんよ。
『ブレード』をセット、『ブラスティング・ヴェイン』で破壊して2枚ドローします」
Gは栄一の疑問に軽く答え、『ブレード』を利用してさらに手札を増強した。
ブラスティング・ヴェイン 通常魔法(アニメGXオリジナル)
自分フィールド上にセットされた魔法・罠カード1枚を破壊する。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
G:手札4枚→5枚
「さらに、手札からこのカードを発動します。『異次元からの帰還』発動です」
「罠を手札から発動!?『トラップ・ブースター』とかも使わないで!?」
驚く栄一に、Gは墓地のカードを1枚取り出して見せた。
「このカードは、1ターン目に『ブリューナク』の効果で捨てた『堕天使の診察』です。このカードが墓地に存在するとき、1枚だけ罠カードを手札から発動できます。
ただし、君に2000ライフを与えるデメリットつきですけどね」
堕天使の診察 通常罠(闇星シリーズオリジナル)
相手の攻撃宣言時に発動できる。相手モンスター1体の攻撃を無効にする。
このカードが墓地にある場合、自分は罠カード1枚を手札から発動できる。
この効果で罠カードを発動した後、このカードをデッキに加えてシャッフルする。
その後、相手は2000ライフポイント回復する。
(ちなみにGが『堕天使の診察』を捨てたのは、ドグマガイ3体を召喚した後、貪欲な壺でBloo-Dを回収した少し後である。手札を1枚捨てて、と書かれているところで捨てた。)
墓地から現れた堕天使が、Gと栄一の双方に恵みを与える。
栄一には生命力、Gには速攻の力を与えた。
栄一:LP1300→3300
「『異次元からの帰還』の効果を処理します。ライフを半分払い、除外された『バスター』3体、『D-END』2体、『エアーマン』、『ジャンク・コレクター』を特殊召喚します」
異次元からの帰還 通常罠
ライフポイントを半分払って発動する。
ゲームから除外されている自分のモンスターを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する。
エンドフェイズ時、この効果で特殊召喚した全てのモンスターはゲームから除外される。
除外されたGのモンスターが、次々とフィールドに帰還した。『強者がひしめく闇の世界』の効果で、モンスターカードは10体まで出せるようになっている。
場には、『ウルティメイト』2体と『モンスター・アイ』の3体がいたので、7体のモンスターが帰還した。
G:LP20200→10100、手札4枚
「『エアーマン』の効果で『ネクロシャドーマン』をサーチします。1000ライフ払い、『モンスター・アイ』の効果で『融合』をサルベージします。
『融合』発動、場の『バスター』、『D-END』、手札の『ネクロシャドーマン』を融合。『ウルティメイト』3体集結です」
G:LP10100→9100、手札4枚
ついに、Gの場に『ウルティメイト』が3体そろった。しかし、Gのターンは終わりが見えない。
「『ネクロシャドーマン』の効果でデッキトップのカードを1枚墓地に送ります。…おやおや、これは随分な運の良さですねぇ」
「だが、俺も運が良かったぜ!墓地に送られたのは『ネクロシャドーマン』だ!この効果でさらにもう1枚デッキから墓地に送る!」
「お互い運がいいようですね。では、今墓地に落ちた『デュアル・ゲート』と手札の『デュアル・ゲート』を除外して2枚ドローします」
デュアル・ゲート 通常魔法(アニメGXオリジナル)
このカードと墓地にある同名カード1枚をゲームから除外する。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
G:手札5枚
『モンスター・アイ』の効果で『融合』をサルベージします。
場の『バスター』と『エアーマン』を融合、『パワード・バーニング・バスター』を融合召喚します。
『モンスター・アイ』の効果で『融合』をサルベージします。場の『バスター』と『D-END』を融合、2体目の『パワード』を融合召喚。
さらに場の『ジャンク・コレクター』の効果を発動、『異次元からの帰還』と共に除外、その効果を発動します。
除外された『バスター』3体と『ジャンク・コレクター』を特殊召喚します。『モンスター・アイ』の効果で『融合』をサルベージします。
場の『バスター』1体と手札の『ミラクル・ヒーロー』を融合、『パワード』も3体そろいました。
さらに、『戦士の生還』で『バスター』をサルベージ、『モンスター・アイ』と『ジャンク・コレクター』をリリース、『バスター』を召喚します。
これで『バスター』も3体そろいました。最後に『死者蘇生』発動、『カリキュレーター』を特殊召喚します」
ジャンク・コレクター ☆5
光 戦士族 効果 ATK1000 DEF2200
フィールド上に表側表示で存在するこのカードと自分の墓地に存在する通常罠カード1枚をゲームから除外して発動する。
このカードの効果は、この効果を発動するためにゲームから除外した通常罠カードの効果と同じになる。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
死者蘇生 通常魔法
自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。
G:LP9100→6100、手札2枚
現在の場の状況
モンスターカードゾーン
E・HERO ウルティメイト・バーニング・バスター×3(ATK4000)
E・HERO パワード・バーニング・バスター×3(ATK3200)
E・HERO バーニング・バスター×3(ATK2800)
ザ・カリキュレーター(ATK23100)
魔法・罠ゾーン 未来融合(ノヴァマスター指定)絶対魔法禁止区域
フィールド魔法 強者がひしめく闇の世界
栄一 LP3300 手札0枚
モンスターカードゾーン なし
魔法・罠ゾーン リバースカード3枚
「………」
栄一は、衝撃的な光景に開いた口がふさがらなかった。
Gの場には、『ウルティメイト・バーニング・バスター』、『パワード・バーニング・バスター』、『バーニング・バスター』が3体ずつ、
さらに攻撃力23100の『カリキュレーター』がいた。
しかし、不思議と恐れはなかった。栄一は来たる攻撃に備えて、気を引き締めた。
「いかがですか?私の全力は。フフ…、これなら私の方がバスター使いとしてふさわしいですね。
私に言わせれば、君のデッキは、中途半端な【バーニング・バスター】ですね。バスターは1枚ですし、そのくせにサポートカードの数が多いです。
バスターをサーチできるカードも確認できたのはエアーマンとエマージェンシーコールくらいですし…。
まあ、その分を驚異的な勘で補っているようですがね」
「お前が俺のデッキをどう思うかは勝手だが…、他人のデッキをバカにするのはデュエリストとしてやっちゃいけないことだ!」
「フフ…、なんとでも言いなさいよ。私より弱い人が何を言っても無駄ですよ。自分の主張を通したければ、私に勝ってください。
では、バトルです。通常召喚していない『バスター』で直接攻撃」
まず、3体いる『バスター』のうち1体が先陣を切って栄一に攻撃しようとした。
しかしその時、栄一の場に赤い肌を持つ不気味なHEROが現れた。
「『ネクロシャドーマン』ですか…。一時しのぎにしかなりませんね。では、『バスター』で『ネクロシャドーマン』に攻撃」
E・HERO ネクロシャドーマン ☆4(NEXUSオリジナル)
闇 戦士族 効果 ATK1500 DEF0
相手の攻撃宣言時に自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
墓地に存在するこのカードを特殊召喚する事ができる。
このカードがフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される。
このカードが墓地へ送られた時、お互いにデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。
大して気にする様子もなく、Gは改めて攻撃宣言をした。
しかし、途中で気づいた。栄一の場のHEROが攻撃態勢を取っていること、そして栄一が1枚のカードを表にしていることに。
そして、『バスター』と『ネクロシャドーマン』の位置が入れ替わった。
「『異次元トンネル-ミラーゲート-』を発動した!これで『バスター』と『ネクロシャドーマン』のコントロールを入れ替えるぜ!」
異次元トンネル-ミラーゲート- 通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在する「E・HERO」と名のついたモンスターを
攻撃対象にした相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手の攻撃モンスターと攻撃対象となった自分モンスターのコントロールを入れ替えて
ダメージ計算を行う。このターンのエンドフェイズ時までコントロールを入れ替えた
モンスターのコントロールを得る。
『バスター』の砲撃が『ネクロシャドーマン』を焼き尽くす。しかし、その余波を受けたのはGだった。
G:LP6100→4800
「ですが、『ネクロシャドーマン』は除外されますから、バーン効果は発動しませんね。では、1体目の『パワード』で『バスター』に攻撃します」
灼熱の戦士と巨人が、互いに砲撃を放つ。その威力は、融合素材の力を得た『パワード』の方がわずかに高かった。
『バスター』は破壊され、栄一は『パワード』の追加攻撃を受けた。
「くっ……」栄一:LP3300→2900→100
「そんな調子で防げるんですか?まだ攻撃可能なモンスターは8体もいるんですよ?2体目の通常召喚していない『バスター』で直接攻撃」
すると、再び不気味な戦士が現れ、守備体制をとった。
「2体目の『ネクロシャドーマン』…。そういえば、2体墓地に送られていましたね。では、そのまま『ネクロシャドーマン』に攻撃」
バスターの攻撃に、『ネクロシャドーマン』は一瞬で消えた。
「3体目の『バスター』で攻撃」
「『ガード・ブロック』を発動!ダメージを0にして1枚ドローする!」
バスターが放った炎は、バリアに阻まれ栄一に届くことはなかった。
「これでセットカードは後1枚…、2体目の『パワード』で直接攻撃」
すると、今度は銀色の長髪を持つ戦士の幻影が現れ、攻撃を阻んだ。
ネクロ・ガードナー ☆3
闇 戦士族 効果 ATK600 DEF1300
自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。
「『ネクロ・ガードナー』ですか…。ですが、そんな防御じゃ持ちませんよ。3体目の『パワード』で攻撃」
今度こそ決着をつけるべく、3体目の『パワード』が攻撃した。
しかし、突如上空に開いた次元の裂け目から、多くのモンスターがフィールドに降り立った。
「『異次元からの帰還』を発動!除外された『ネクロシャドーマン』2体、『ネクロ・ガードナー』、『ギガ・サラマンダー』を守備表示で特殊召喚する!」
栄一:LP100→50
「だから何ですか?君のライフは残り50、適当なモンスターを破壊すれば『パワード』の効果で私の勝ちです。『パワード』で『ギガ・サラマンダー』に攻撃」
両手から放たれた灼熱の炎球が、『ギガ・サラマンダー』を一瞬でフィールドから消し去り、その勢いのまま栄一の目の前に立ち、その体の全ての熱エネルギーを栄一へと放出した。
栄一:LP50
「『リリカル・セイジ』…。つまらない手で生き残りましたね。しかもそれはさっき『ガード・ブロック』でドローしたもの…、あなたの強運にはかないませんよ」
Gは、つまらなそうな声で皮肉交じりに言った。
リリカル・セイジ ☆3(NEXUSオリジナル)
炎 炎族 効果 ATK800 DEF800
このカードを手札から捨てて発動する。
このターン、自分が受ける戦闘ダメージ以外のダメージは全て0になる。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
自分はデッキからカードを1枚ドローする。
「…攻撃してもしなくてもおそらく結果は変わりませんね。でも、一応攻撃しておきます。『ウルティメイト』3体で3体のモンスターに攻撃。
『カリキュレーター』で直接攻撃、どうせ『ネクロ・ガードナー』で防がれますけど」
Gは投げやりな態度で言った。そして、Gの言った通り『ウルティメイト』でモンスターを全滅させたが、『カリキュレーター』の攻撃は『ネクロ・ガードナー』で防がれた。
「まだエンドにはしません。ライフに不安がありますからね。『神秘の中華なべ』を発動。『カリキュレーター』をリリース、ライフを21000回復します。
さらに、『ジャンク・コレクター』と『バーニング・バスター』を除外して墓地の『ブレード』を手札に加えます。
さらに、『ブレード』を捨てて『D・D・R』発動。『ジャンク・コレクター』を特殊召喚して、『デストラクト・ポーション』とともに除外します。
通常召喚していない『バスター』を破壊、2800ライフ回復します」
神秘の中華なべ 速攻魔法
自分フィールド上のモンスター1体をリリースする。
リリースしたモンスターの攻撃力か守備力を選択し、
その数値だけ自分のライフポイントを回復する。
4800まで減っていたGのライフは、一瞬で再び莫大な量になった。
G:LP4800→25800→28600
「私はこれでターン終了、どうですか?君のライフは50、私のライフの572分の1です。
加えて、私の場には『ウルティメイト』3体をはじめとした7体のモンスターがいます。君の場にも手札にもカードはないんですよ?
この状態から勝てるとでも思ってるんですか?」
Gの問いに栄一ははっきりと答えた。
「分からないよ…、やってみなきゃ分からないからな!俺は最後まで諦めない!!」
「…まあ、せいぜい頑張ればいいんじゃないですか」
自分が負ける可能性はないと確信しているかのように、Gは栄一の返答に軽く答えた。
5ターン目終了時
G |
LP |
28600 |
手札 |
0枚 |
モンスターゾーン |
E・HERO ウルティメイト・バーニング・バスター×3(ATK4000)
E・HERO パワード・バーニング・バスター×3(ATK3200)
E・HERO バーニング・バスター(ATK2800) |
魔法・罠ゾーン |
未来融合(ノヴァマスター指定)
絶対魔法禁止区域 |
フィールド魔法 |
強者がひしめく闇の世界 |
栄一 |
LP |
50 |
手札 |
0枚 |
モンスターゾーン |
なし |
魔法・罠ゾーン |
なし |
「俺のターン、ドロー!!」
ドローカードにわずかな望みをかけて、栄一は勢いよくカードを引いた。
10.
「引いたカードは『E-エマージェンシーコール』だ!発動して『バブルマン』を手札に加え、特殊召喚!2枚ドローする!」
まさに緊急事態である今、デッキから『バブルマン』が呼び出された。
戦闘能力は心もとないが、その強力効果で栄一に手札を与えた。
栄一:手札0枚→2枚
E-エマージェンシーコール 通常魔法
自分のデッキから「E・HERO」と名のついたモンスター1体を手札に加える。
「さらに、墓地の『リリカル・セイジ』2体の効果を発動!除外して2枚ドローする!」
先ほど栄一のピンチを救った『リリカル・セイジ』がさらなる手札を与えた。
栄一:手札2枚→4枚
「そういえば、2ターン目に発動した『異次元からの埋葬』で墓地に戻されてから、ずっと1体目は放置されていましたね。さすがに私も忘れかけていましたよ。
この状況でここまで手札を増やしてくるとは…やりますね」
『リリカル・セイジ』は何もすぐに効果を発動する必要はない。こうやって時間を置くことで相手が予想しないドローをすることもできるのである。
このあたりも、栄一のプレイングセンスが発揮されたところであろうか。
ドローカードを見た栄一は、すぐにその中の1枚を発動した。
「さらに『戦士の忘れ形見(メメント・オブ・バスター)』を発動!」
戦士の忘れ形見(メメント・オブ・バスター) 通常魔法(NEXUSオリジナル)
「E・HERO バーニング・バスター」が自分フィールド上を離れた次のターンに、
相手の墓地に存在する通常魔法カード1枚を選択して発動する。
このカードの効果は選択した通常魔法カードの効果と同じになる。
Gは、意味が分からないという表情を浮かべた。『戦士の忘れ形見』は『バスター』が発動したプレイヤーの場を離れた次のターンしか発動できないからである。
しかし、少し考えたGは答えにたどり着いた。
「確かに前のターンに、『ミラーゲート』で君の場に行った
私の『バスター』が、君の場を離れましたね…」
そう。『戦士の忘れ形見』の条件となる『バスター』は、何も自分のものでなくてもいいのである。
Gは、思わぬ方法で『戦士の忘れ形見』を発動されたことに驚いていた。
「『戦士の忘れ形見』の効果でお前の墓地の『エレメンタル・ターボ』の効果を発動!2枚ドローする!」
うまく『戦士の忘れ形見』を発動した栄一はさらに手札を増やした。
エレメンタル・ターボ 通常魔法(NEXUSオリジナル)
「E・HERO」と名のついたモンスターの融合召喚に成功したターンに発動する事ができる。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
栄一:手札4枚→5枚
「『エレメンタル・リレー』を発動!『エッジマン』を捨てて2枚ドロー!」
さらに手札交換カードを引いた栄一は、どんどん手札を整えていった。
エレメンタル・リレー 通常魔法(NEXUSオリジナル)
手札から「E・HERO」と名のついたモンスター1体を捨てて発動する。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
「『アームズ・ホール』を発動!デッキから『ジャンク・アタック』を手札に加える!」
ダメージは半分だが、あらゆるモンスターに『バスター』の強力効果を付加できる装備魔法を、栄一は手札に加えた。
アームズ・ホール 通常魔法
自分のデッキの一番上のカード1枚を墓地へ送って発動する。
自分のデッキ・墓地から装備魔法カード1枚を手札に加える。
このカードを発動するターン、自分は通常召喚する事はできない。
ジャンク・アタック 装備魔法
装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。
そして再び、栄一はあのモンスターを呼んだ。
「お前の『闇の世界』の効果を発動する!もう一度力を貸してくれ、『バスター』!!」
栄一の場に現れた灼熱の戦士は、鋭い目つきで自分の偽物、そしてそれを操るGを見据えた。
「いくぜ!『融合』を発動!『バスター』と手札の『ヘルフレイムエンペラー』を融合!燃えろ! 荒ぶる炎のHERO『バーニング・ソウル・バスター』!」
先ほど現れた業火のHEROが、再び現れた。しかし、その雰囲気は先ほどと異なる。今は、敵味方構わずに恐怖を与えていた。これも、地獄の皇帝の力だろうか。
もっとも、栄一は気づいていないのだが。
E・HERO バーニング・ソウル・バスター ☆10(NEXUSオリジナル)
炎 戦士族 融合・効果 ATK2800 DEF2400
「E・HERO バーニング・バスター」+レベル7以上の炎属性モンスター
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、このカードの融合素材とした「E・HERO バーニング・バスター」以外のモンスターの攻撃力の半分の数値分アップする。このカードは相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。
このカードが戦闘を行う場合、相手プレイヤーが受ける戦闘ダメージは0になる。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊する度に相手に600ポイントのダメージを与える。
E・HERO バーニング・ソウル・バスター:ATK2800→4150
「これでこのカードも条件を満たしたぜ!『HEROの遺産』を発動!3枚ドロー!」
『バスター』が墓地に行ったことで、栄一の墓地に存在する上級HEROは2体になっていた。
HEROの遺産 通常魔法(漫画GXオリジナル)
自分の墓地にレベル5以上の「HERO」と名のついたモンスターが
2体以上存在する場合のみ発動する事ができる。
自分はデッキからカードを3枚ドローする。
栄一の墓地のレベル5以上『HERO』:
『E・HERO エッジマン』(☆7)
『E・HERO バーニング・バスター』(☆7)
栄一:手札3枚→5枚
「まだだ!『エレメンタル・ターボ』を発動!さらに2枚ドローする!」
ドローカードがさらなるドローカードを呼ぶ。栄一がこのターンに発動したドローカードは、すでに7枚になっていた。
栄一:手札5枚→6枚
「『融合回収』を発動!墓地の『融合』と『バスター』を手札に戻す!そしてそのまま『融合』発動!
場の『バブルマン』と手札の『バスター』を融合!『パワード・バーニング・バスター』を融合召喚!」
融合回収 通常魔法
自分の墓地に存在する「融合」魔法カード1枚と、
融合に使用した融合素材モンスター1体を手札に加える。
『バブルマン』の力を得た『バスター』が、『パワード・バーニング・バスター』となり『バーニング・ソウル・バスター』と並び立った。
「さらにこのカードを発動する!」
栄一が1枚の手札に手をかけたその時…、カードが光った。
「『BELIEVE IN NEXUS』発動!!」
栄一が発動したのは、プレイヤーとモンスターの絆を試す、最強の融合のカード。
BELIEVE IN NEXUS 通常魔法(NEXUSオリジナル)
自分の手札・フィールド上・墓地から、融合モンスターカードによって
決められたモンスターをゲームから除外し、その融合モンスター1体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
このカードによって特殊召喚したモンスターは、
融合素材としたモンスター1体につき攻撃力が500ポイントアップする。
発動ターンのエンドフェイズ時、このカードを発動したプレイヤーは
特殊召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。
「やれやれ…、カードが光ったときは何事かと思いましたが…、ただの融合範囲の拡張&攻撃力上昇効果が追加されただけの『融合』じゃないですか。
しかも重いデメリットつきですか」
さすがのGもこのカードは知らなかったのか、カード効果を分析していた。Gのこのカードへの評価が低いようだ。
恩恵に対して、デメリットが大きすぎるとでも言っているようだった。
それに対し栄一は、
「お前にはそうとしか見えないだろうな。モンスターを単なる駒として扱っているお前には。だが、俺とバスターの絆の力でお前を倒す!!
墓地から『バスター』、『バブルマン』、『エッジマン』を除外融合!」
来い! 『E・HERO ウルティメイト・バーニング・バスター』!
そして呼び出されたのは、栄一の最大最強のHERO。
全ての悪を、その灼熱によって灰にまで燃やし尽くす巨人、『ウルティメイト・バーニング・バスター』が、地鳴りを響かせてフィールドに現れる。
先ほどまでフィールドを支配していたGのバスター軍団ですら、本物の『ウルティメイト・バーニング・バスター』の迫力には敵わない。
E・HERO ウルティメイト・バーニング・バスター:ATK4000→5500
「これで最後だ!『サラマンドラ』と『ジャンク・アタック』をそれぞれ『ウルティメイト』と『バーニング・ソウル』に装備する!
そして手札の『クラッチマン』を捨てて『D・D・R』を発動!!戻ってこい!『バスター』!!」
『ウルティメイト』が炎の剣を構え、『バーニング・ソウル』もさらなる力を手にした。
そして、栄一の場に並ぶ全てのモンスターのもととなったモンスター、『バーニング・バスター』が異次元から帰還した。
E・HERO ウルティメイト・バーニング・バスター:ATK5500→6200
これで、栄一の場には『バーニング・バスター』、『バーニング・ソウル・バスター』、『パワード・バーニング・バスター』、『ウルティメイト・バーニング・バスター』が全て揃った。
モンスターの量では、まだGに軍配が上がるが、質はこちらの方が上であった。単純な能力の優劣だけではなく、発している『オーラ』のようなものにも差があった。
それは本物と偽物の差なのか、または絆の強さの差なのか。誰にも分からない。だが確かにその差は存在している。
「バトル!『バーニング・ソウル』でお前のモンスター全部に攻撃!「『バーニング・ソウル・バースト』!」
業火のHEROは再び灼熱の雨を降らせ、Gが率いるバスター軍団を燃やし尽くした。その攻撃の余波は『ジャンク・アタック』により大幅に増強され、Gに襲い掛かった。
G:LP28600→12200
(ジャンク・アタックで12200ダメージ、バーニング・ソウルの効果で4200ダメージ))
「これで終わりだ!!『バーニング・バスター』、『パワード・バーニング・バスター』、『ウルティメイト・バーニング・バスター』で直接攻撃!
『バーニング・バースト』!『パワード・バーニング・バースト』!!『ウルティメイト・バーニング・バースト』!!!」
『バーニング・バスター』と『パワード・バーニング・バスター』が放った炎が『ウルティメイト・バーニング・バスター』の持つ剣にさらに力を与えた。
そして『ウルティメイト・バーニング・バスター』は、炎をまとった剣に『バスター』と『パワード』、融合素材となったモンスターたち、そして栄一の思いを乗せ、対峙する男を両断した。
「そんな…、バカな……」G:LP12200→9400→6200→0
こうして、6ターンにも及ぶ壮絶なデュエルは栄一の勝利で幕を閉じた。
終章
デュエルが終わってすぐ、栄一は異変に気付いた。栄一の周りの闇はすっかり晴れたのに、Gは闇に包まれていく。栄一がGの方に駆け寄ると、
「ああ、ご心配なく。別に闇のデュエルだったわけではないですから。私はまた別の世界に行って新たな戦術を模索してきます。今回は私の負けにしておきますよ。
ですが、覚えておいて下さい。私は必ず再び君のもとに現れ、君を倒します。私は強い者がいる所ならどこへでも現れますからね。フッフッハッハッハ…」
その言葉を最後に謎の男は消えた。もうこの場所には、男がいた痕跡すらない。
「結局、なんだったんだ…。悪い夢でも見てたのか……?」
どっと疲れがたまった栄一は、レッド寮に戻って寝た。
そして、起きた時にはこの出来事をきれいさっぱり忘れていたという。
余談だが、デュエル中、1羽のカラスがずっとデュエルの様子を見ていたそうだ。そして、デュエル終了後、満足そうな声で1回鳴いて飛び去ったという。
もしかしたら、彼がGをけしかけ、栄一にこのようなデュエルをさせて楽しんでいたのかも知れない。
だが、そこで壮絶なデュエルがあったことはもう誰も知らないので、推測の域は出ないのだが。
あの男、Gがどこに行ったかは誰も知らない。
強者を追い求める者、G。次に現れるのはあなた(の小説のキャラ)の下かも知れない。
終わり
あとがき
そんなわけで、とある決闘者の挑戦-世界『N』での決戦、いかがだったでしょうか。
今回はシリアス路線で書いてみたけど、どうだったんだろう。
一応簡単に適当に補足を。
・オリカ解説
といってもこの1枚だけですが。
強者がひしめく闇の世界 フィールド魔法(オリジナル)
このカードはデュエル開始時に、デッキまたは手札から発動する。
このカードはフィールドから離れない。
1ターンに1度、お互いのプレイヤーは手札、墓地、デッキ、エクストラデッキからシンクロモンスター以外のレベル7以上のモンスターを1体特殊召喚できる。
このカードを発動したデュエル中、お互いのモンスターカードゾーンは10ヶ所になる。
なぜこのカードが生まれたのか。要はオレイカルコスだと、永続系のカードの使用がかなり制限され、戦術の幅が狭まってしまうからです。
そこでこのカードが登場しました。Gが作ったカードなのでカード名は、いかにも彼が好みそうな感じに。(実際、作中でも言ってましたね)
で、なぜ闇の世界なのか。普通のフィールド魔法より便利というのもありますが、Gがいろんな世界に行っているということを示すためでもあります。
後、実はこの話より先に闇星シリーズの雲井番外編の構想があり、その中で使われていたカードだったということもあります。ちなみに雲井番外編の執筆は未定。
ちなみに最初の効果はおまけ。後半のみだといまいち名前と効果が合わないので。(crowはこれだけの理由でこのレベルの効果を平気でつけます)
普通に考えたら十分展開補助になりますが、正直1ターンに1体じゃ大して影響が出ません。(ぇ
ちなみにテキストには書いていませんが、「自分のデッキ上限が100枚になる」という効果もあります。
これは彼が5年ほど前に世界『DG』に行った時のことと関係していますが、今後語ることがあるかも知れないし、そうでないかも知れません。
このカードには別に闇の力とかはありません。ただ、たまたまこういう名前でこういう効果だったってだけです。クローバーさん、色々とすみません。
・オリキャラ解説
といってもこの1人だけでs(ry
G 24歳(NEXUS時間軸)
ハピフラ番外編に出た僕のオリキャラ、痔井(kunaiさん命名)の6年後。
でも、やってることが昔とあまり変わらない。
GはGamemasterの略。本当はDuelmasterのDと名乗ろうと思っていたが、同じ読みで「人間国宝と呼ばれた」などと言っているマナーを守らないデュエリストがいたので、Gに変更した。
ちなみに↓のカードが文庫本2045ページ相当の真相。
crow circus フィール魔法
このカードを持つ者は、世界観などを色々と無視してデュエルを展開できる。
50%が意味不明、30%がオーバーキル、20%が負けフラグでできています。これを使って勝てたのは伊吹君のみ。
Gはこれを、カラス(の姿をした邪悪な化け物)から入手した。
おまけ:今回発動した主な手札増強効果を持つカードとその使用回数
ミラクル・ヒーロー:43回
フェニックスブレード:41回
マッハ・ブレイザー:9回
エアーマン:15回
ラストターンの栄一のドロー枚数:14枚(アド+9)
それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
はたしてGは、次にどこに現れるのか…それは僕にもわかりませんが、その時は何とぞよろしくお願いします。 crow

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