1.
太平洋のとある場所に存在する孤島。まさに今、そこで壮絶なデュエルが始まっていた。
「な、なんだよ、これ…」
明石 栄一は目の前の状況にただただ呆然としていた…。
事の発端は数分前。
栄一の前に突如、20代前半とみられる男が現れ、
「私と一緒にやりませんか?」
とデュエルディスクを構えながら話しかけてきたのだ。
「デュエルなら喜んで受けて立つけど…、あんた誰だ?あと、なんで俺と?」
栄一が聞き返すと、
「私は…、そうですね、Gとでも名乗っておきます。君とデュエルしようと思ったのは、君に前から興味があったからですよ」
Gはどこに持っていたのか、1冊のノートを取り出して言葉を続けた。
「私が作った『倒す価値のあるデュエリストリスト-世界『N』の住人編』に入っていますからね。
まあ、要するに私は強い人と戦いたい、ってだけですよ」
言っておきますけど、私の方がずっと強いですよ、とGは付け加えた。
「強いと思ってくれるのは嬉しいけど、どっちが強いかなんか、やってみなきゃ分からないだろ。よし、デュエルだ!」
2人はデュエルディスクを構えて対峙した。
「「デュエル!!」」
先行を示すランプがGのデュエルディスクに灯った。
「では、私の先行です。この瞬間、フィールド魔法発動」
その瞬間、フィールドは闇に包まれた。
2.
「なんなんだ?ドローもしてないのにフィールド魔法発動って…」
戸惑う栄一に、
「フィールド魔法『強者がひしめく闇の世界』を発動しました。このカードはデュエル開始時に発動する特殊なカードです。
しかも、絶対に場を離れません。素晴らしいでしょう?あ、そうそう、別にこのカードには闇の力などはありません。闇のデュエルになる、なんてこともありませんよ」
Gは自慢するかのようにそう言った。自分はこんなに強力なカードを持っているんだ、とでも言いたげに。
栄一は効果を確認しようとしたが、闇に隠れてほとんど分からなかった。
「それにしても、このカード、いい名前だと思いませんか?『強者がひしめく』なんて…、まさに夢のような世界です。
強い人が多ければ、倒しがいがありますからね、フフ…。
そしてこのフィールドは、強者を呼びます。『強者がひしめく闇の世界』の効果発動、
1ターンに1度、レベル7以上のモンスターを1体特殊召喚できます!
私はデッキから、レベル8の『精霊王ルクランバ』を特殊召喚します」
強者がひしめく闇の世界 フィールド魔法(オリジナル)←作者(crow)のオリジナルです。
このカードはデュエル開始時に、デッキまたは手札から発動する。
このカードはフィールドから離れない。
1ターンに1度、お互いのプレイヤーは手札、墓地、デッキ、エクストラデッキから、
シンクロモンスター以外のレベル7以上のモンスターを1体特殊召喚できる。
???
精霊王ルクランバ ☆8(アニメDMオリジナル)
闇 爬虫類族 効果 ATK1000 DEF2000
自分が1000ポイント以上のダメージを受けた時に、
手札からこのカードを特殊召喚する事ができる。
表側表示のこのカードをリリースする事で、
攻撃力の合計が2000以下になるように自分の手札からモンスターを特殊召喚する事ができる。
緑の体をした、2本足で立つ巨大なトカゲのようなモンスターが闇の中から姿を現した。
「いきなりレベル8のモンスターかよ…」
カード消費なしで最上級モンスターが出てくる。強力効果に栄一は戦慄した。
「ああ、ご心配なく。君も自分のターンにはこの効果を適用できますよ。
もっとも、HEROデッキにこの効果で出せるモンスターがいれば、の話ですけどね」
Gはやや皮肉交じりに説明した。
HEROの最上級モンスターはほとんど融合モンスターである。普通なら、特殊召喚制限のないレベル7以上のモンスターはあまり採用されないだろう。
その表情は、自分だけがこの恩恵を受けられると思っているのか、得意げである。
「では、『ルクランバ』の効果発動。手札から、攻撃力の合計が2000以下になるようにモンスターを特殊召喚します。
『クリムゾン・ポーン』、『モンスター・アイ』、『チューニング・サポーター』を特殊召喚」
ルクランバが場から消え、かわって3体のモンスターが現れた。
(一体、どんなデッキなんだ…)
いずれも見慣れないモンスターだった上に、3体のモンスターにはまるで統一感が感じられない。
栄一は、謎の男の得体のしれない戦術に困惑するばかりであった。
そんな栄一をよそに、Gはさらにカードを発動した。
「さらに、『機械複製術』を発動します。『チューニング・サポーター』を2体特殊召喚します」
中華なべをかぶったような姿のモンスターが3体に増えた。
『チューニング・サポーター』の攻撃力は100なので、『機械複製術』の適用範囲内なのである。
チューニング・サポーター ☆1
光 機械族 効果 ATK100 DEF300
このカードをシンクロ召喚に使用する場合、
このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。
このカードがシンクロモンスターのシンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、
自分はデッキからカードを1枚ドローする。
機械複製術 通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在する
攻撃力500以下の機械族モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターと同名モンスターを2体まで自分のデッキから特殊召喚する。
(どういうつもりだ?あんな低レベルモンスターばかり並べて…)
意図がまるで分かってない様子の栄一。次にGが発した言葉は彼をさらに困惑させた。
「では、『クリムゾン・ポーン』と『チューニング・サポーター』3体でシンクロ召喚します。
ここで、『チューニング・サポーター』の効果で3体のうち、1体をレベル2として扱います」
「し、しんくろ召喚…?」
するとGは、はっとしたような表情になり、言葉を付け加えた。
「ああ、すみません。君たちの住む世界にはシンクロ召喚の概念はないんですね。これは失礼しました。
では、簡単に説明します。シンクロ召喚は、場に出ている複数体のモンスターを素材にして、シンクロモンスターを特殊召喚する次世代の召喚法です。
シンクロ召喚の際にはチューナーと呼ばれる特別なモンスターが必要です。今回の場合は、『クリムゾン・ポーン』がチューナーモンスターです」
Gは簡単にシンクロ召喚について説明した。
しかし、栄一の頭はさらに混乱していた。
(俺たちが住む世界って…他にも世界があるのか?)
「まあ、細かいことは気にしないでください。では、続けますよ。
『チューニング・サポーター』3体に『クリムゾン・ポーン』をチューニング。シンクロ召喚、『氷結界の龍 ブリューナク』。
さらにシンクロ素材とした4体のモンスターの効果発動、4枚ドローします」
クリムゾン・ポーン ☆2(闇星シリーズオリジナル)
炎 炎族 チューナー ATK1000 DEF1000
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
そのモンスターのレベルを1下げて、攻撃力を500下げることができる。
この効果を使用したとき、自分は500ポイントのダメージを受ける。
また、このカードがシンクロ召喚に使用されたとき、デッキの上からカードを1枚ドローする。
氷結界の龍 ブリューナク ☆6
水 海竜族 シンクロ・効果 ATK2300 DEF1400
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
自分の手札を任意の枚数墓地に捨てて発動する。
その後、フィールド上に存在するカードを、墓地に送った枚数分だけ持ち主の手札に戻す。
手札を大幅に補強したGは、さらなる行動に出た。
「『未来融合-フューチャー・フュージョン』を発動、
『E・HERO The シャイニング』を指定して、デッキから融合素材を墓地に送ります」
「お前も、HEROデッキなのか?」
先ほどまで、訳の分からないことが続いていたので、栄一は思わずそう尋ねた。
HEROデッキなら、まだ自分の理解の範疇であると信じて。
しかし、ここからのGの行動は、栄一の知っているHEROデッキよりもずっと複雑だった。
「『神剣-フェニックスブレード』を捨てて、『ブリューナク』の効果発動。『未来融合』を手札に戻します。
墓地の『E・HERO エアーマン』と『E・HERO アナザー・ネオス』を除外して、墓地の『フェニックスブレード』の効果発動、このカードを手札に戻します。
回収した『ブレード』を捨てて『D・D・R』を発動。『エアーマン』を特殊召喚します」
Gは一気にここまで言い切った。
未来融合-フューチャー・フュージョン 永続魔法
自分のエクストラデッキに存在する融合モンスター1体をお互いに確認し、
決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
神剣-フェニックスブレード 装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
自分のメインフェイズ時、自分の墓地に存在する
戦士族モンスター2体をゲームから除外する事で、
このカードを自分の墓地から手札に加える。
D・D・R 装備魔法
手札を1枚捨てる。
ゲームから除外されている自分のモンスター1体を選択して
攻撃表示でフィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
E・HERO エアーマン ☆4
風 戦士族 効果 ATK1800 DEF300
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●自分フィールド上に存在するこのカード以外の「HERO」と名のついたモンスターの数まで、
フィールド上に存在する魔法または罠カードを破壊する事ができる。
●自分のデッキから「HERO」と名のついた
モンスター1体を手札に加える。
「さらに、『エアーマン』の効果発動。デッキからHEROと名のついたモンスターを1枚サーチします」
Gは、デッキからカードを1枚取出して栄一に見せた。そのカードを見た瞬間、栄一は驚愕の表情を浮かべた。
そして、思わず疑問が口に出た。
「なんでお前が、そのカードを持ってるんだ…?」
Gがサーチしたカードは、数日前に対峙したカード。本来ならここにあるはずの無いカード。
『D-HERO Bloo-D』だった。
D-HERO Bloo-D ☆8
闇 戦士族 効果 ATK1900 DEF600
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上に存在するモンスター3体を
生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。
相手モンスター1体を指定してこのカードに装備する
(この効果は1ターンに1度しか使用できず、 同時に装備できるモンスターは1体のみ)。
このカードの攻撃力は、装備したモンスターの攻撃力の半分の数値分アップする。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
相手フィールド上に表側表示で存在する効果モンスターは全て効果が無効化される。
3.
「なぜ私が『Bloo-D』を持ってるか?簡単なことです。別の世界では、D-HEROは珍しいカードではないんですよ。
『Bloo-D』は某ゲームの攻略本の付録として入手できます」
「べ、別の世界って…」
「世の中には、君が知らない世界が数多くあるってことです。『闇の世界』を入手したのは、私が『Y』と呼んでいる別の世界ですしね。
ちなみにここの世界は『N』と呼んでいます」
「は、はあ…」
突拍子もない話に栄一はますます混乱するばかりであった。
だが、デュエルの内容は理解できる領域になった。少なくとも、『Bloo-D』の効果は知っている。
しかし…
「『融合』を捨てて『ブリューナク』の効果で『D・D・R』を手札に戻します。
『エアーマン』は『D・D・R』の効果で破壊されます。
先ほど戻した『未来融合』を発動、『E・HERO エスクリダオ』を指定、融合素材を墓地に送ります。
墓地に送った『ミラクル・ヒーロー』と2枚目の『アナザー・ネオス』を除外、『ブレード』を手札に戻します。
回収した『ブレード』を捨てて『ブリューナク』の効果で『未来融合』を手札に戻し、すぐに発動。
『エスクリダオ』を指定、融合素材を墓地に送ります。
『エアーマン』と、『未来融合』で墓地に送った2枚目の『ミラクル・ヒーロー』を除外、『ブレード』を手札に戻します。
1枚セット、『ブレード』を捨てて『D・D・R』発動、『エアーマン』を特殊召喚して『D-HERO ドグマガイ』をサーチします。
1000ライフ払い、『モンスター・アイ』の効果で墓地の『融合』をサルベージします。
『Bloo-D』と『ドグマガイ』を融合。『Dragoon D-END』を融合召喚します」
D-HERO ドグマガイ ☆8
闇 戦士族 効果 ATK3400 DEF2400
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上に存在する「D-HERO」と名のついたモンスターを含む
モンスター3体を生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。
この特殊召喚に成功した場合、次の相手ターンのスタンバイフェイズ時に相手ライフを半分にする。
融合 通常魔法
手札・自分フィールド上から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。
モンスター・アイ ☆1
闇 悪魔族 効果 ATK250 DEF350
1000ライフポイントを払って発動する。
自分の墓地に存在する「融合」魔法カード1枚を手札に戻す。
Dragoon D-END ☆10
闇 戦士族 効果 ATK3000 DEF3000
「D-HERO Bloo-D」+「D-HERO ドグマガイ」
このモンスターの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
1ターンに1度だけ相手フィールド上のモンスター1体を破壊して
そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
この効果を使用したターン、バトルフェイズを行う事ができない。
このカードが自分のターンのスタンバイフェイズ時に墓地に存在する場合、
墓地の「D-HERO」と名のついたカード1枚をゲームから除外する事で
このカードを特殊召喚する事ができる。
墓地、場、手札、除外ゾーンの間でカードがぐるぐる回っている。
栄一が理解できたのは、『最後のD』が召喚されたということだけだった。
「1ターンで『Dragoon D-END』を召喚するなんて…」
驚きと混乱が混ざったような様子の栄一に、Gは、
「この程度で驚かれては困りますよ。まだ私のターンは始まったばかりです」
さらに、Gははっきりと自分の論理を述べた。栄一にとっては悪夢としか思えないような半永久ループの論理を。
「私の手札は現在0枚です。よって除外された『ミラクル・ヒーロー』を手札に加えることができます」
ミラクル・ヒーロー ☆4(NEXUSオリジナル)
闇 戦士族 効果 ATK1600 DEF1600
「フィールド上のカードを破壊する効果」を含む魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、
自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事でその発動を無効にし、破壊する。
自分の手札が1枚以下の場合、ゲームから除外されているこのカードを自分の手札に加える事ができる。
「手札に加えた『ミラクル・ヒーロー』は手札コストにできます。現在除外ゾーンには2枚の『ミラクル・ヒーロー』があります。
手札コストとして2枚とも墓地に送られた場合は、『ブレード』の回収コストとしてもう一度除外できます。
分かりますね?手札の枚数に気を付ければ、私は半永久的に手札コストを確保し続けられるんですよ。
では、実際にやってみましょう…
かくかくしかじか 魔法カード(プロジェクトシリーズオリジナル)
話を短縮し、ストーリーを高速回転させる。
…『D-END』を融合召喚。これで『D-END』3体集結です」
ちなみに、Gがとった行動は以下のとおりである。
(ブリュ…ブリューナク、ミラクル…ミラクル・ヒーロー
右端の数字は、左が手札の枚数、右が除外されている『ミラクル・ヒーロー』の数)
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収、エアーマン破壊。1 1
ミラクルとエアーマンを除外してブレード回収。2 2
ブレードを捨ててDDR発動、エアーマン帰還、Bloo-Dサーチ。1 2
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収、エアーマン破壊。2 1
ミラクルとエアーマンを除外してブレード回収。3 2
ブレードを捨ててDDR発動、エアーマン帰還、ドグマガイサーチ。2 2
1000ライフ払い、モンスター・アイの効果で融合を回収、融合、D-END。0 2
(上記の行動をもう1度繰り返す)
栄一は、何もしていないのに疲れてきていた。ただひたすら、Gのソリティアを見ているのはつらいものがあった。
思考も鈍ってきた。しかし、3体目のD-ENDが召喚されたとき、栄一は目の前のあり得ない光景に目を見開いた。
Gが召喚したモンスターは『D-END』3体、『モンスター・アイ』、『ブリューナク』、『エアーマン』
…何度見てもGの場には6体のモンスターがいた。
栄一は、疲れた頭で理由を考え、1つの結論に至った。
「まさか、『闇の世界』の効果で…」
栄一がそう呟くとGは、忘れていたとでも言う口調で説明した。
「え、ああ、その通りです。『強者がひしめく闇の世界』はもう1つ効果があります。
このカードが発動されたデュエル中、お互いのモンスターカードゾーンは10ヵ所になるのですよ。
せっかくデッキに多くの強いモンスターが入っているのに、モンスターがたったの5体しか出せないなんてもったいないでしょう?」
強者がひしめく闇の世界 フィールド魔法(オリジナル)
このカードはデュエル開始時に、デッキまたは手札から発動する。
このカードはフィールドから離れない。
1ターンに1度、お互いのプレイヤーは手札、墓地、デッキ、エクストラデッキからシンクロモンスター以外のレベル7以上のモンスターを1体特殊召喚できる。
このカードを発動したデュエル中、お互いのモンスターカードゾーンは10ヵ所になる。
(なんだよその効果…、でも、これ以上『融合』は手札に加えられないし…そろそろ終わりかな)
『モンスター・アイ』の効果を3回発動したGのライフは1000になっていた。
よって、もう『モンスター・アイ』の効果を発動することはできないのである。
いい加減、終わってほしい。栄一はそんな願いを抱きながら、次の行動を見ていた。
「…では、セットしておいた『貪欲な壺』を発動。『ドグマガイ』3枚と『Bloo-D』2枚をデッキに戻して2枚ドローします」
貪欲な壺 通常魔法
自分の墓地に存在するモンスター5体を選択し、デッキに加えてシャッフルする。
その後、自分のデッキからカードを2枚ドローする。
ドローカードを確認すると、Gは笑いながらドローカードを栄一に見せてきた。
「ハハハハハ!これは素晴らしい!やはりすべてが私のために動いている!!」
ドローカードは『戦士の生還』と『絶対魔法禁止区域』の2枚。何の変哲もない魔法カードである。
栄一は、このドローカードの示す意味がしばらくの間理解できなかった。
4.
「ドローした2枚のカードを発動。『戦士の生還』の効果で『Bloo-D』を手札に戻します」
戦士の生還 通常魔法
自分の墓地に存在する戦士族モンスター1体を選択して手札に加える。
「…ふむ、その様子だとなぜこのカードがそんなにいいドローだったのか分かってないようですね。
では、実際にやりながら説明しましょう。
除外された『ミラクル・ヒーロー』を手札に戻し、『ブリューナク』の発動コストとします。
『ブリューナク』の効果で『D・D・R』を手札に戻します。この時、『エアーマン』が破壊されます」
『D・D・R』の力で生かされていた『エアーマン』は、『D・D・R』が無くなったことにより場から消滅した。
「『D・D・R』をセットします。これで手札が1枚になったので2枚目の『ミラクル・ヒーロー』を手札に加えます。
『ミラクル・ヒーロー』を捨てて、『D・D・R』を発動、『アナザー・ネオス』を特殊召喚します。
さらに、『ミラクル・ヒーロー』2枚を除外して墓地の『ブレード』を手札に戻し、『ブリューナク』の発動コストとします。
『ブリューナク』の効果で『D・D・R』を手札に戻します」
先ほどと同じように、『D・D・R』の力で召喚されたモンスターを残し、『D・D・R』が場から離れた。
しかし、『アナザー・ネオス』は消滅することなく、場に残り続けていた。
「分かりましたか?『絶対魔法禁止区域』の効果で通常モンスター扱いになっている『アナザー・ネオス』は魔法カードの効果を受けません。
当然、『D・D・R』の「このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。」という効果も受けません。
つまり、私は除外された『アナザー・ネオス』を好きなだけ特殊召喚できるんですよ」
絶対魔法禁止区域 永続魔法
フィールド上に表側表示で存在する全ての効果モンスター以外のモンスターは魔法の効果を受けない。
E・HERO アナザー・ネオス ☆4
光 戦士族 効果 ATK1900 DEF1300
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードはフィールド上に表側表示で存在する限り、
カード名を「E・HERO ネオス」として扱う。
「何体でもモンスターを特殊召喚できる…、っ!まさか……」
栄一はGの手札にある、『あのカード』の存在を思い出した。
「そう、私の手札には『Bloo-D』が存在します。この半永久ループを利用すれば、いくらでも『Bloo-D』を呼べるんですよ、フフ…
では、続けます…
かくかくしかじか 魔法カード(プロジェクトシリーズオリジナル)
話を短縮し、ストーリーを高速回転させる。
…『Bloo-D』と『アナザー・ネオス』2体をリリース、『ドグマガイ』特殊召喚、これで『ドグマガイ』は3体そろいました。
まあ、途中で『D-END』を1体リリースしてしまいましたけどね」
ちなみにGの行動は以下の通り。(アナザー…アナザー・ネオス、その他の表記の意味は先ほどと同じ。)
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 1
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 0
モンスター・アイとアナザー2体をリリース、Bloo-D。1 0
ミラクル、エアーマンを除外してブレード回収。2 1
ブレードを捨ててDDR発動、エアーマン帰還、ドグマガイサーチ。1 1
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収、エアーマン破壊。1 0
アナザー2体を除外してブレード回収。2 0
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。2 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。3 2
ブレードを捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 2
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 1
ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。2 2
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。2 2
Bloo-Dとアナザー2体をリリース、ドグマガイ。1 2
エアーマンとアナザーを除外して、ブレード回収。2 2
ブレードを捨ててDDR発動、エアーマン帰還、Bloo-Dサーチ。1 2
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収、エアーマン破壊。2 1
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 0
ミラクルとアナザーを除外してブレード回収。2 1
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。2 1
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 2
DDRをセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 1
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 0
アナザー3体リリース、Bloo-D。1 0
アナザー、エアーマンを除外してブレード回収。2 0
ブレードを捨ててDDR発動、エアーマン帰還、ドグマガイサーチ。1 0
アナザーとミラクルを除外してブレード回収。2 1
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収、エアーマン破壊。2 1
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。2 2
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。2 2
アナザー、Bloo-D、D-ENDをリリース、ドグマガイ。1 2
エアーマンとアナザーを除外して、ブレード回収。2 2
ブレードを捨ててDDR発動、エアーマン帰還、Bloo-Dサーチ。1 2
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収、エアーマン破壊。2 1
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。2 2
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。2 2
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 1
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 0
ミラクル、アナザーを除外してブレード回収。3 1
ブレードを捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 1
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 0
アナザー3体リリース、Bloo-D。1 0
アナザー、エアーマンを除外してブレード回収。2 0
ブレードを捨ててDDR発動、エアーマン帰還、ドグマガイサーチ。1 0
アナザーとミラクルを除外してブレード回収。2 1
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収、エアーマン破壊。2 1
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。2 2
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。2 2
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 1
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 0
Bloo-Dとアナザー2体をリリース、ドグマガイ。1 0
…なかなか書いていて頭が沸騰しそうな内容であった。
5.
もはや1ターンの時間制限内でできるか分からないGのプレイングに、栄一はもう泣きたくなっていた。
(『ドグマガイ』召喚のために『Bloo-D』リリースって…まるで意味が分からない……)
もう、これをデュエルと呼んでいいものか定かではないが、Gのターンはもう少し続く。
「ふう…、もうこのループで特殊召喚できるモンスターで、出したいモンスターは私のデッキにはありませんね。
ですが、もう少し粘ってみましょう。『ミラクル・ヒーロー』2体を除外して、『ブレード』を回収、そのまま捨てて『ブリューナク』の効果で『未来融合』を手札に戻します。
再び『未来融合』を発動、今度は『E・HERO ノヴァマスター』を指定して融合素材を墓地に送ります。
墓地に送った『E・HERO ネクロシャドーマン』の効果でお互いにデッキトップのカードを墓地に送ります」
筋肉が露出したような赤い肌を持つ不気味なHEROの幻影がGの墓地から現れ、
互いのデッキから1枚のカードを奪い去った。
E・HERO ネクロシャドーマン ☆4(NEXUSオリジナル)
闇 戦士族 効果 ATK1500 DEF0
相手の攻撃宣言時に自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
墓地に存在するこのカードを特殊召喚する事ができる。
このカードがフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される。
このカードが墓地へ送られた時、お互いにデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。
「さらに、墓地に送った『リリカル・セイジ』を除外して1枚ドローします」
リリカル・セイジ ☆3(NEXUSオリジナル)
炎 炎族 効果 ATK800 DEF800
このカードを手札から捨てて発動する。
このターン、自分が受ける戦闘ダメージ以外のダメージは全て0になる。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
自分はデッキからカードを1枚ドローする。
ドローしたGは、先ほどと同じように笑みを浮かべた。
「やはり私のもとには必要なカードがすべて集まってくるようですね。カードを2枚セット、除外された『ミラクル・ヒーロー』2枚を手札に戻します。
そのまま捨てて、セットされた『魔法石の採掘』を発動。『貪欲な壺』を手札に戻し、発動。
『Bloo-D』3枚、『ネクロシャドーマン』、『モンスター・アイ』をデッキに戻して2枚ドローします」
魔法石の採掘 通常魔法
手札を2枚捨てて発動する。
自分の墓地に存在する魔法カードを1枚手札に加える。
『ミラクル・ヒーロー』によって、『魔法石の採掘』の重いコストを無視し、『貪欲な壺』により手札を補充した。
ドローしたカード、『魔法石の採掘』がここでGにとって都合がいいことは、今回は栄一にも分かった。
と同時に、栄一は気づいていた。
Gにとって重要なのは、手札を補充したことよりも、『Bloo-D』がデッキに戻ったことだと。
これで、『エアーマン』により『Bloo-D』を手札に加えることができる。栄一にはこれからGがとる行動がなんとなく分かった。
かくかくしかじか 魔法カード(プロジェクトシリーズオリジナル)
話を短縮し、ストーリーを高速回転させる。
「…『アナザー・ネオス』2体と『ブリューナク』をリリース、『Bloo-D』3体集結です」
ちなみに今回のGの行動は以下の通りである。
ミラクル2体を除外してブレード回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。3 2
DDRセット、アナザー2体を除外してブレード回収。3 2
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。3 2
DDRセット、アナザー、エアーマンを除外してブレード回収。3 2
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。3 2
DDRセット、手札を1枚捨ててブリュの効果でDDR回収。2 2
DDRセット、ミラクル回収、捨ててDDR発動、エアーマン帰還、Bloo-Dサーチ。1 1
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収、エアーマン破壊。2 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。3 2
ブレードを捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 2
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 1
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。2 2
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。2 2
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 1
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 0
アナザー3体リリース、Bloo-D。1 0
アナザー2体を除外してブレード回収。2 0
ブレードを捨ててDDR発動、エアーマン帰還、Bloo-Dサーチ。1 0
ミラクルとアナザーを除外、ブレード回収。2 1
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収、エアーマン破壊。2 1
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。2 2
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。2 2
DDRセット、ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 1
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。3 2
ブレードを捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 2
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 1
アナザー3体リリース、Bloo-D。1 1
アナザー2体を除外して、ブレード回収。2 1
ブレードを捨ててDDR発動、エアーマン帰還、Bloo-Dサーチ。1 1
アナザーとミラクルを除外、ブレード回収。2 2
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収、エアーマン破壊。2 2
ミラクル回収、そのまま捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 1
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果でDDR回収。2 0
ミラクル2体を除外してブレード回収。3 2
ブレードを捨ててDDR発動、アナザー帰還。1 2
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果で未来融合回収。2 1
未来融合でノヴァマスター指定、リリカル・セイジを墓地に送る。1 1※
ミラクル回収、そのまま捨ててブリュの効果で未来融合回収。2 0
未来融合でノヴァマスター指定、リリカル・セイジを墓地に送る。1 0※
ミラクル2体を除外して、ブレード回収。2 2
ブレードを捨ててブリュの効果でDDR回収。2 2
アナザー2体とブリュをリリース、Bloo-D。1 2
…全部を描写していたらどうなるか、考えたくもない。
「さらに、先ほど『未来融合』を使いまわして墓地に送った『リリカル・セイジ』2枚を除外、2枚ドローします。(※参照)
『D-END』と『アナザー・ネオス』を除外して『ブレード』を手札に加えます。
『ブレード』を捨てて『D・D・R』を発動、『D-END』を特殊召喚します。
最後に『ザ・カリキュレーター』を召喚、1枚セット、除外された『ミラクル・ヒーロー』2枚を手札に加えてターン終了です」
Gの場には、先ほどリリースされた『D-END』が再び現れ、さらに、電卓型のモンスターが召喚された。
「ちなみに『カリキュレーター』の攻撃力は、自分の場のすべてのモンスターのレベルの合計の300倍なので、300×80=24000ですね」
ザ・カリキュレーター ☆2
光 雷族 効果 ATK? DEF0
このカードの攻撃力は、自分フィールド上に表側表示で存在する
全てのモンスターのレベルを合計した数×300になる。
「攻撃力24000…、な、なんだよ、これ…」
Gの場にいる電卓型のモンスターは、周りの強い味方たちの力をうけ、驚異的な攻撃力になっていた。
1ターン目からモンスターを10体召喚、しかもほとんどが切り札級のモンスターである。
しかもそのうち1体の攻撃力は24000。栄一は目の前の状況にただただ呆然としていた…。
1ターン目終了時
G |
LP |
1000 |
手札 |
2枚 |
モンスターゾーン |
Dragoon D-END×3(ATK3000)
D-HERO ドグマガイ×3(ATK3400)
D-HERO Bloo-D×3(ATK1900)
ザ・カリキュレーター(ATK24000) |
魔法・罠ゾーン |
リバースカード2枚
未来融合(ノヴァマスター指定)
絶対魔法禁止区域
DDR(D-ENDに装備) |
フィールド魔法 |
強者がひしめく闇の世界 |
栄一 |
LP |
4000 |
手札 |
5枚 |
モンスターゾーン |
なし |
魔法・罠ゾーン |
なし |
中編に続く
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