纏めればこういった感じのようです。
・10月下旬、クライマックスシリーズが始まる前に、原辰徳監督、清武GM、桃井恒和オーナーの間で、来期のコーチスタッフの編成を決定した
・その中には、岡崎郁1軍ヘッドコーチの、来期の留任も含まれていた
・そしてその事は、桃井オーナーと共に渡邊会長にキチンと報告していた
・ところが後に渡邊会長は、その人事を「聞いていない」と一喝
・そして今月9日になって、岡崎コーチの降格と、江川卓氏の1軍ヘッドコーチ招聘を決定
この渡邊会長の人事介入を、清武GMが不当とした為に、今日の記者会見に至った模様です。
野球界で言うGMとは、チーム編成を決定する最高責任者の事を指します。
つまり読売ジャイアンツというチームの人事権は、清武GMが握っているのです。
今回の人事も、前述のように原監督、桃井オーナーと綿密に話し合った結果です。
ところが、プロ野球のチームには、どこにも親会社という強力なバックが存在します。
巨人で言えば、読売グループ。そしてその最高権力者が、渡邊会長なのです。
なので、いくら清武GMが人事権を掌握していようと、強大な権力を握っている渡邊会長の鶴の一声によって、簡単に覆されてしまう。それが現実に起きたのが、今回の騒動なのです。
この騒動を見守る中で、今年のシーズン開幕前に、アメリカMLBニューヨーク・ヤンキースで起きた、ちょっとした騒動を思い出しました。
ヤンキースのGMブライアン・キャッシュマン氏と、オーナーであるハル・スタインブレナー氏(昨年亡くなった「ビッグ・ボス」ジョージ・スタインブレナー氏の息子)の間で起きた人事騒動が、今回の騒動と似ている気がしたのです。
騒動は、この年、つまり2011年のシーズン開幕前のスプリング・トレーニング(日本で言うキャンプ)が始まる直前に起きました。
オーナーのハル氏が、タンパベイ・レイズからフリー・エージェント(以下FA)となったラファエル・ソリアーノという投手を、キャッシュマンGMの意向を無視して、勝手に獲得してしまったのです。
キャッシュマンGMの中では、ソリアーノを獲らないまま、開幕前の補強は終了するつもりだったのです。
何故なら、メジャーのFAのシステムでは、FA移籍した選手の成績によって、その年の6月に行われるドラフト会議の指名権を、移籍前のチームは移籍先のチームから奪う事が出来るからです。
この年のドラフトは史上最高の豊作と呼ばれている事もあり、キャッシュマンGMは貴重なドラフト指名権を失いたくなかったのです。
キャッシュマンGMは、ソリアーノ獲得の際、「これがヤンキースというチームだ」という言葉を残しています。
前オーナーの「ビッグ・ボス」ジョージ氏が、誰よりもヤンキースを愛し、勝利する為には何でもするという人であり、大金を叩いて大物FA選手をどんどん獲得していくというスタイルだった為、オーナーが人事に介入するという事は慣れきった事である、という意味合いだそうです。
キャッシュマンGMの立場は、上から下からの板ばさみで辛いものであると思います。清武GMも、状況としては似たようなものでしょう。
立場などの面からすれば、球界の嫌われ者である渡邊会長が、今回もやらかした、という面が強いかもしれませんが、一方で、こういった人事介入は、読売ジャイアンツという企業だけで起きているものではありません。
だから、何が正解であるという事は、一概に言えないと思います。
この騒動が、穏便に解決出来れば。1ファンとしては、それが願いです。

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